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SEKAI NO OWARIによるシングル"INORI"及び"スターライトパレード"を含む一連の作品群
厳密にはアルバムと言うカテゴリーで語るには無理があるので、いささか躊躇しましたが、私にとって今年一番の収穫は彼らの音楽に出会えた事だったのです。 私が彼らの音楽に最初に触れたのは、昨年、関西のFM曲にて大フューチャーされた「天使と悪魔」からでした。この時の印象は、はっきり言って決して良いものではありませんでした。そのあまりに理想主義的、相対主義的価値観や、直接的な表現の未熟さにむしろ辟易としたほどでした。 ところが、今年リリースされた"INORI"の中の「花鳥風月」を聴き、ついでこのシングル全体を聴くに及んで、私は彼らの虜になったのです。 最初に持った印象自体は、今でも大きくは変化していません。 例えば、そのソーシャル(社会)よりもコミュニティ(共同体)を強く意識した音楽活動であるとか、過剰に物語られる(曖昧な)物語だとか、アートワーク(教典)に巧妙に組み込まれたメッセージ、或いはそのラディカルかつストレートでシンプルな言葉使いなど、基本的に新興宗教の必要条件としか思えない彼らの有り様は、私の様な不可知論者にとって、嫌悪すべき対象でありこそすれ、愛すべき対象にはなり得ないはずの要素だと、自分では認識してはいるのです。 そう言った事を認識しながらも、なぜ私は何故彼らの音楽に魅かれていったのか。 それは「花鳥風月」における次のフレーズに見られる曙光の様な、かすかな諦観に強く胸を打たれるからなのです。 「愛する事で 得てきた答え 悲しい事が 一つ 一つずつ 消えていく」 彼らの曲にあるのは、決して私が大嫌いな「世界を変えよう」と言った、力強く、前向きな意志では無いのです。 むしろ、滅びに対する諦めと郷愁だと思うのです。 その事に、私は強く打たれるのです。 私などよりはるかに若い彼らがこう感じている、そんな空気感。 例えば、最近ある若い学者の言説にこう言うものがありました。 「若者は今、決して世界に不満を持っていない。むしろ、現状においてその上の世代よりもはるかに満たされている。世の若者の為に、と煽られる将来への不安は実は上の世代こそが、自ら感じている不安なのでは無いか」 であるならば、彼らの歌は私たち大人に対する退場宣告なのです。 いつの時代も、若者は上の世代の退場を望んでいる。その事を、上の世代はいつも忘れていく。 彼らは私にその事を思い出させてくれました。 そして、その宣告こそ、正にロックの本質であることを。 だからこそ、私たちは彼らに、彼らの歌に、真摯に向き合わねばならないのです。 そう強く思わせられるのです。 年末近くにリリースされた「スターライトパレード」は、ほぼ考えうる限り私にとってのポップソングの要件を満たした、完璧な一曲です。 The Flaming Lips の"Race for Prize"に匹敵する宗教的法悦感や、高揚感すら与えてくれます。 無条件の、音楽による多幸感と、いつまで聴き続けても満たされる事の無い希求感。 12月に訪れたライブで披露された新曲を聴くと、この凄みさえ感じさせる一曲ですら、彼らにとっては通過点の一歩に思えます。 一体どこまで、彼らは私を導いていってくれるのか。 そこが宗教的な終着点であれ、或いは世界の終末を唱えるラディカルなアナーキズムであれ、私は空恐ろしくもあり、楽しみで仕方が無いのです。
by unit7of9
| 2011-12-31 13:44
| '11 Best
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