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"Wasting Light" by Foo Fighters
![]() ともかくも、ただ純粋にロックである、その一点に尽きます。 音、プレイ、シャウト。 このアルバムには全てがつまっている。 その上で、私たちが成すべき事を改めて教えてくれる。 ただ「歩け」と。 何があろうと。 そして、たとえ見苦しくても、汚らしくても、生きろ、と。 ラストにおけるデイブのシャウトは、魂のシャウトは、何度聴いても心に力を与えてくれる。 私も、こうでありたい。 絶対に死にたくない。 永遠に。 そう叫び続けながら、みっともなくも歩いていきたい。 歩けなかった人達の分まで。 それが私たちの責任です。 そんな重みを背負った私たちの背中を押してくれる、そんなアルバムが2011年度ベストアルバムです。 来年は、本当に良い年になりますように。
SEKAI NO OWARIによるシングル"INORI"及び"スターライトパレード"を含む一連の作品群
![]() 厳密にはアルバムと言うカテゴリーで語るには無理があるので、いささか躊躇しましたが、私にとって今年一番の収穫は彼らの音楽に出会えた事だったのです。 私が彼らの音楽に最初に触れたのは、昨年、関西のFM曲にて大フューチャーされた「天使と悪魔」からでした。この時の印象は、はっきり言って決して良いものではありませんでした。そのあまりに理想主義的、相対主義的価値観や、直接的な表現の未熟さにむしろ辟易としたほどでした。 ところが、今年リリースされた"INORI"の中の「花鳥風月」を聴き、ついでこのシングル全体を聴くに及んで、私は彼らの虜になったのです。 最初に持った印象自体は、今でも大きくは変化していません。 例えば、そのソーシャル(社会)よりもコミュニティ(共同体)を強く意識した音楽活動であるとか、過剰に物語られる(曖昧な)物語だとか、アートワーク(教典)に巧妙に組み込まれたメッセージ、或いはそのラディカルかつストレートでシンプルな言葉使いなど、基本的に新興宗教の必要条件としか思えない彼らの有り様は、私の様な不可知論者にとって、嫌悪すべき対象でありこそすれ、愛すべき対象にはなり得ないはずの要素だと、自分では認識してはいるのです。 そう言った事を認識しながらも、なぜ私は何故彼らの音楽に魅かれていったのか。 それは「花鳥風月」における次のフレーズに見られる曙光の様な、かすかな諦観に強く胸を打たれるからなのです。 「愛する事で 得てきた答え 悲しい事が 一つ 一つずつ 消えていく」 彼らの曲にあるのは、決して私が大嫌いな「世界を変えよう」と言った、力強く、前向きな意志では無いのです。 むしろ、滅びに対する諦めと郷愁だと思うのです。 その事に、私は強く打たれるのです。 私などよりはるかに若い彼らがこう感じている、そんな空気感。 例えば、最近ある若い学者の言説にこう言うものがありました。 「若者は今、決して世界に不満を持っていない。むしろ、現状においてその上の世代よりもはるかに満たされている。世の若者の為に、と煽られる将来への不安は実は上の世代こそが、自ら感じている不安なのでは無いか」 であるならば、彼らの歌は私たち大人に対する退場宣告なのです。 いつの時代も、若者は上の世代の退場を望んでいる。その事を、上の世代はいつも忘れていく。 彼らは私にその事を思い出させてくれました。 そして、その宣告こそ、正にロックの本質であることを。 だからこそ、私たちは彼らに、彼らの歌に、真摯に向き合わねばならないのです。 そう強く思わせられるのです。 年末近くにリリースされた「スターライトパレード」は、ほぼ考えうる限り私にとってのポップソングの要件を満たした、完璧な一曲です。 The Flaming Lips の"Race for Prize"に匹敵する宗教的法悦感や、高揚感すら与えてくれます。 無条件の、音楽による多幸感と、いつまで聴き続けても満たされる事の無い希求感。 12月に訪れたライブで披露された新曲を聴くと、この凄みさえ感じさせる一曲ですら、彼らにとっては通過点の一歩に思えます。 一体どこまで、彼らは私を導いていってくれるのか。 そこが宗教的な終着点であれ、或いは世界の終末を唱えるラディカルなアナーキズムであれ、私は空恐ろしくもあり、楽しみで仕方が無いのです。
"the shimmer" by toddle
![]() ブッチャーズの新譜が出なかった今年も、田渕ひさ子のギターにやられました。 もちろん、鳴り物入りのLAMAも良かった。でも、私は彼女の初期衝動を閉じ込めたこちらの方がはるかに好きです。 小林愛とのツインボーカルも、ツインギターも、コーラスも、すべて決して完璧なプロダクションではありません。現代の技術をもってすれば、きっともっと整然としたキレイなアルバムを作る事も出来たでしょうが、あえてそうしないで、ラフでありながら熱のこもったままの音を封じ込めた所が、本作の最大の魅力です。 これぞ、ロックのケレン味と言ったブレイクやソロパート。まるでシンガロングすら視野に入れているかの様なキャッチーなメロディ。 これまでのパブリックイメージを覆すはじけっぷりがとても印象的な本作。 色んな意味で、ブッチャーズとの比較になることは仕方がありません。 しかし、本作で聴く事の出来る可愛らしく、ポップで、かつロックであると言う、その姿こそが私である、と力強く、ときに自然体で主張するそのギターの音の美しさ、格好良さ。 加えて、全てのメンバーによるアンサンブルの妙。 自らのロックバンドとしての存在理由が、そして自らがロックバンドでなければならない理由がここにはあります。 6月の暑い一日、一人で京都まで足を伸ばし訪れたライブハウスで彼らはそれを証明してくれました。 欲を言えば、こちら(関西)でもっとライブをして欲しいものです。
"Ciao!" by Moonriders
![]() 復活したバンドに次いで、終わりを告げるバンド。 まさかこの日がこんなに早くやってくるとは思いませんでした。 何故なら、言い方は悪いけれども、彼らだけは最後の一人になるまで続くバンドだと思っていたからです。 今でも、実はそう信じたい気持ちがいっぱいです。 だけど、終わってしまうのです。 私事になりますが、私が人並みに巷の普通のヒットソングをカラオケで歌う事が出来ず、お世辞にも世当たり上手な青春時代を過ごせなかった理由の大部分は、大いに彼らのせいなのです。 彼らの深遠でシニカルな歌詞を知ってしまった以上、どうして巷の軽薄な歌詞が歌えるでしょう。 思春期に彼らを好きになる事さえ無ければ、きっとチャラチャラとした薔薇色の青春が、人生が送れていたはずなのです。 私はそんな彼らを恨み、そしてこの上なく愛していたのです。 そんなステキな青春時代を送れなかった、と言う一生消えない傷を残してくれたゆえに。 そうでなかったから、私はこんなに甘い痛みを一生感じ続ける事が出来るとも言えるから。 私のこのルサンチマンは彼らが私に残してくれた、あまりにも大きな遺産です。 恐らく、彼らを愛する多くの人が同じ事を感じているはずです。 大きな大きな心の痛みを残して彼らは去っていきます。 混沌としていて、難解。だけど、これぞムーンライダーズと言う、おのれの最後を飾るには彼ららし過ぎる作品を残して。 薔薇が無くちゃ? 私はあなたたちのお陰で、薔薇(色)を知る事が出来なかったんだぜ? どうしてくれるんだ! だけど、12月の大阪でのラストギグを、これから私は心の拠り所にして生きていくでしょう。 メンバーとの暖かな握手。 後半の"ダイナマイトとクールガイ""スカーレットの誓い""Kのトランク""Beatitude"、そして本作のラストを飾るあまりにもセンチメンタルな2曲。 前半の"Who's Gonna Die First?""Don't Trust Anyone Over (40,50,60)""frou frou"そしてあの曲。 私はどれも決して忘れません。 涙は悲しさだけで出来ているんじゃないことを、あなたたちは教えてくれたから。
"Move Like This" by The Cars
![]() いきなり復活Bandから入るのも、まぁいきなり復活の当ブログにふさわしいかと。 一年に二回の更新では、もはやどなたにも読んで頂けていないかも知れませんが、とりあえず自分の中でのけじめで、一応これ(カウントダウン)だけはやってみます。 と言うわけで、5位はカーズです。 ベンジャミンの居ないカーズをカーズと呼びたくない人もおられるかも知れませんが、私にとってはカーズ=リックなんです。(イエス=ジョンみたいなもんです) それを差し引いても、このチープなシンセサウンド、あまりにも可愛過ぎるメロディ、あっと驚く転調。加えてダサいのかハイセンスなのか、良く分からないジャケット。何でここまで変わらないのか、不思議にすらなるあのカーズのアルバムです。 アルバム中の白眉はM2"Too Late"。まるでどこかで聴いた事のある様なメロディ、アレンジ。だけど、例えばリックのあの素晴らしいソロ作"This Side Of Paradise"の中の"Ture To You"や"Emotion In Motion"みたいに、ポップの神さまに愛された人だけが書けるステキな一曲。どこか新しい世界に連れて行ってはくれないけど、朝のまどろみの様に優しく、胸を暖かくしてくれる音楽。 誰もが忘れているだろうけど、初期のWeezerがあれほど魅力的だったのは、このリックのお陰のはずです。 つまり彼がやっている事は、バンド休止中の間を含めて、この30年間何一つ変わっていないのです。人の心のどこかに届く音楽を作る事。 世の中、進化する事だけが良い訳では無いことを思い知ったこの一年、それにふさわしい一枚だと思うのです。
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